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SAV指数 SAV指数

SAV指数とは

原点回帰のオリジナル新指数を開発した

 JRDBという競馬データベース会社に所属している奥野と申します。
 このたび、JRDBのスピード指数・IDMをベースに開発した新指数「ストライド・アドバンス・バリュー(SAV)」を紹介させていただきます。この指数を開発したのには3つの大きな目的がありました。

1.馬の能力値を拡張しよりきめ細かい指数を作る必要があった
2.情報や分析による優劣をより強調した指数が欲しかった
3.他にないデータを持たせ独自性の強い指数が作りたかった

 競馬は時計的な評価だけでは勝ち馬を推測できないのが難しいところです。しかし、競馬の勝ち負けはどこまでいっても走ることによって決まります。走りの能力がベースになければ、勝ち馬選びの評価は確実にぶれることになります。よってまずその土台にIDMを敷きました。
 IDMというスピード指数は、基本的にタイム理論に基づいているため、0.1秒を1ポイントや2ポイントで置き換えられます。そのコンマ1秒を拡張して、外厩や調教などの情報や、騎手などのデータ分析による優劣を足し込み、よりきめ細かい指数に変化させました。
 そして、これからの競馬予想は、指数の精度や分析力の戦いになってきます。一般化された指数を使っていても他者との差を生むことができません。また、アイテムを増やすことは予想のバリエーションを増やすことになり、それは集中の回避に繋がります。

ガチに馬券で儲かる時代に突入

 今日の競馬予想や馬券の買い方は、株式取引や為替取引同様に大きく変化しています。進化しているといってもいいでしょう。そしてIPAT連動機能を駆使したシステム投票も増え続けているように思います。
 これは2020年7月20日頃の記事です。
「競馬利益18億円申告せず 中国人男性、払戻金は95億」。5年間で約95億円の払戻を得て、利益はなんと18億円。年間約3億5000万円の利益を無申告で税務調査を受け、追従税額が約10億円に上る…」
 個人なのか組織なのかは知る由もありません。しかし現実にこれだけ儲けている人が世の中に複数存在していることは間違いありません。
 個人で投票システムを開発したのか、既存のシステムを改造して作ったのか、何らかのデータをもって買い目を自動的に作り、自動投票によって利殖を成功させているのでしょう。
 そのようなソフトやシステムによる投票で、もっとも重要となってくるのが、“指数の精度”です。

問われる指数の精度 (有効な指数の条件はこれだ!)

 私が考える、馬券投資で儲けるための指数の要点は次の3つです。

1.安定性:成績が安定していること―統計モデルの確率を求める
2.独自性:算出にオリジナリティがあること
3.優位性:地味ながらプロの感覚が含まれて尖っていること―バイアスを獲る

 JRDBのIDMは、ここで紹介するSAV開発の素となっています。繋がりのある複数の著名なAI予想家さんもJRDBのIDMを使用して儲けているという話を聞いています。
 10年前の馬券裁判で一躍有名となられた卍氏の卍指数(IDMを含めたバージョン・競馬最強の法則WEBで提供中)も、高回収率を目指すことができる指数の一つだといえるでしょう。
 2010年、馬券で160億円の払戻を得て、世を騒がせた馬券集団UPRO(競馬最強の法則2010年10月号に掲載)もまた、JRDBの指数や情報の安定性に着目して馬券を買い込み資金を増やしていったのでしょう。

 なぜ多くのAI予想家がIDMを使っているのか…。その理由は「指数の安定性に優れている点」にあります。
 指数は、ピックアップの土台になるものです。ある値に対して毎年同じ結果となるもの、あるいは、あるレース条件においてほぼ同じ結果を出力しなければ、安心して使い続けることができません。よって、長期の投資においては「安定性」が一番重要となります。もし指数100の1番人気が常に勝率がだいたい30%になるように作られていれば、目的に対して計算が立ちます。サイコロの各目の出る確率(16.67%)が分かっているのと同じことですから。
 高配当を的中させたとしても、その配当を、期待される確率で的中できなければ、さほど使える指数とは言えません。「今日単勝50倍の馬を軸に馬券を当てた!」ということよりも、「単勝50倍の馬がどれぐらいの確率で勝つかを正確に予測できた」という情報の方が値打ちはあるということです。

 次は「独自性」。他にないオリジナルの情報やデータを含めて、独自のロジックによって算出された指数は、その独自性こそが基準となるため、市場のバイアスに影響されないユニークなファクターとして使うことができます。また、それを用いて市場のバイアスを推し量ることができます。

 そして「優位性」は、勝負するべきポイントを探ることができます。
 IDMには「成績IDM」と「IDM調整値」があります。それらの詳細な解説は割愛しますが、普段IDMと呼んでいるものは後者となります。「IDM調整値」には、現場班ならではの予測モデルが組み込まれています。「現場の眼の強み」が他に類を見ない指数となり、優位性を持つことになります。

JRDBのIDM

これがSAVの中身だ (外厩、パドック・・・などの他に無い要素を組み入れた強み)

 IDM調整値をベースに、先の3要素を意識して開発した指数がSAVです。2016年に着手し、検証を繰り返し、指数や情報の配置やパラメタを組み替えながら、ようやく安定した指数を作り出すことができました。
 独自性を生み出すに当たり、私が取り入れたファクターは次の10点です。

・IDM調整値の偏差値(ベース) ・騎手乗り替わり加点(減点) ・騎手加点(直近半年の実績・誕生日週など) ・外厩補正(成長性評価) ・人気判定 ・厩舎判定 ・追切加点 ・脚質加点 ・成長加点 ・分析データ加点(減点)


 IDM偏差値(以下IDM)はSAVのベースとなります。これが安定してるからこそ、そこに安心して鉄骨を立てたりコンクリートを流し込むことができます。
 競走馬の成績に大きく関与していると思われる騎手の評価を割と強めに加えてあります。具体的には、近走の実績が良いかどうか、プラスの乗り替わりかどうか。細かいところでは、誕生日が近いかどうかなども付け加えてあります。
 外厩補正というのはおそらくどこにもないものでは無いでしょうか。これこそ独自性の極みだと思います。弊社には村山弘樹という外厩分析専門のスタッフがおり、彼のアドバイスにより随時パラメタを変更して指数の安定性と優位性を固めています。
 具体的には、外厩の直近の成績から勢いがあるかどうかを算定し、それをポイント化しています。今年は、ウインでおなじみの、ビッグレッドファーム鉾田やビッグレッドファーム真歌、そしてコスモヴューファーム、関東の上位厩舎に良く利用される阿見トレセン、関西ならヒイラギステーブル(awaji)、このあたりは、特にポイントを高めに設定している外厩です。ノーザンファームしがらき、ノーザンファーム天栄は、成績自体は安定しているものの、今年は例年のように際立った実績を上げていないため、ポイントを抑え気味にしています。
 人気判定は、基準オッズに対して実際の成績を算出しポイント化したもの。
 厩舎判定は、厩舎指数(JRDBの情報系指数)に対して結果を評価しポイント化したもの。すでに少し組み込まれているため、ここではあまり強調はしていません。
 追切加点は、追切指数(JRDBの情報系指数)に対して結果を評価しポイント化したもの。
 脚質加点は、弊社コンテンツの展開予想データの、今回予想される脚質データと枠番の実績をポイント化したもの。
 成長加点は、競走実績に表れない成長性をより強調する形で指数化したもの。
 分析データ加点は、今回走る条件かどうかを調べたネタの個数を、指数に加算できる形に置換したもの。加算だけではなく、凡走の条件に合致する場合は減点もしている。

 IDMとSAVの大きな違いは、値の幅の設定です。IDMの最高値は90未満であるの対し、SAVは加点要素数によって200近くになることもあります。とはいえ、150を超えればほぼ違いは無くなり、同じ扱い方で良くなります。

SAVの精度 (安定して予想精度が高い有効な指数となった)

 指数で最も重要なのが安定性。SAVもまたそこに重きを置いて開発してきました。

 SAVは、安定性に加えて、「強さの要素」も含んでいます。速さではなく強さです。よって指数が高くなればなるほど勝率等の成績が良くならないといけません。

表1 2017年以降 総合データ


 このように、指数が高くなれば、“段階的に”、勝率・連対率・3着内率が高くなり、低くなれば低くなります。この段階で、80~89よりも70~79の成績が良くなっていたりすれば、もう全く使い物になりません。
 次のデータは、年度別に分けて集計したものです。

表2 年度別総合データ


 指数が高くなるにつれ成績も良くなるのは当然として、各年度の各指数区分において、その成績に大きなブレがなく結果が安定していることが見て取れます。
 2020年はまだ秋競馬を残しているため、数値の高いところ(概ね120以上)が少し物足りない結果になっていますが、下のデータからも分かるように、このクラスは秋の成績が良くなります。秋に入って成長すべき3歳の1勝クラス以上の馬たちがデータ通りの結果を残してくれれば、過去3年に近似した数値に収束するはずです。

SAVで回収率を向上させる方法

(筆者が作るSAV系狙い馬のお気に入り条件設定の一部-JRDBのソフト「過去データ分析for Gold Generator」を使用)

 SAVはあくまでも競走馬の能力と、その結果を安定させることに特化させています。したがってこれ単体で高い回収率、概ね(85%以上)を求めることは難しくなります。回収率を高いレベルで定着されるためには、もう一本か二本の柱を打ち込む必要があります。

 ではどうするのか…、それを探っていくことが次のステップになります。
 回収率の計算にはオッズが絡んできます。しかし、当日発表される実際のオッズに拘りすぎると、思い通りの結果を導くことができません。なぜならば、確定オッズはあくまでも確定後のオッズであって、確定するまでその正確な値がつかめないからです。
 そこで役立つのが、JRDBの基準オッズです。

基準オッズで儲かるポジションを探る

 基準オッズには単勝から3連単までありますが、ここでは単勝と複勝の2種類を使います。
 それぞれ、基準単勝オッズ、基準複勝オッズと呼び、専門紙やスポーツ紙の印を解析して人気指数というものを算出したあと、騎手による加点などを施し、オッズ値を算出しています。

 実際のオッズとは全く同じにはなりませんが、馬ごとの人気の度合いをどこよりも正確に知ることができます。
 また、当日のリアルタイムオッズとは違い、定数的に使用できるため分析で使いやすく結果もぶれません。なおかつリアルタイムオッズに近いため払戻金の見当が付けやすいメリットも持ちます。

 ここで、基準単勝オッズが10~16倍の馬に対して集計してみました。最も狙いやすい人気薄の範囲ということで、個人的には割と気にいっている設定です。

表3 基準単勝オッズ10~16倍のSAVごとの成績

 2018年だけはあまり良い回収率を生み出せていませんが、他の年度においては、概ねSAV80~89の区分において、安定した勝率と高い回収値を示せています。この基準単勝オッズの設定に対して、そのSAV区分が、期待値100以上となるための最適なレンジということになります。これが大きすぎても小さすぎてもいけない、ということですね。

 次の表は、SAV(ここでは分かりやすくするために10ポイント区切り)の結果に対して、基準複勝オッズが5~7倍に合致する馬に絞って集計した結果です。複勝が5から7倍といえばもうかなりの人気薄です。皆さんが大好きな穴馬です。

表4 基準複勝オッズ5~7倍のSAVごとの成績

 ご覧の通り、SAVが70~79の区間において、安定して高い回収率を出力しています。3着内率が約15%で、複勝回収率が90%なら、投資対象のヒモ馬としては十分使えるネタとなります。
 なお、ここで紹介した設定は、あくまでも分かりやすく示したもので、「この設定でなければ儲からない」というものではありません。

SAVをもっと分析する



(筆者が作るSAVと基準オッズの高回収率条件設定-JRDBのソフト「過去データ分析for Gold Generator」を使用)

 馬券で儲けを出すために、次にするべきことは、儲かる条件を探ることです。特定の指数、あるいは、指数の範囲に対して、どういう条件を組み込めばプラス回収させられるのか…。好条件探索を繰り返し行い、最終的にそれを自分の馬券モジュールとして作り上げていくわけです。
 ここで紹介するパターンは、私の完全オリジナルとなります。参考にしていただければ幸いです。

 <絞り込み設定>
 ・基準単勝オッズが3.9倍の1番人気がいるレース

 <条件設定>
 ・クラス 未勝利戦
 ・基準オッズの人気 2~3番人気
 ・SAV 90~200

 未勝利戦において、1番人気が堅いとはいえないレースにおいて、2・3番人気の馬の指数が高いときをイメージしていただけるかと思います。
 1番人気は票数を一番集めるからこそ1番人気になるわけですが、どんなに人気が無くても一番票を集めていることに間違いはありません。その馬の“関係者の評判が低い(=基準オッズが高い)”とき、力のあるそれ以外の上位人気が台頭して妙味をもたらしてくれている…。そういうことが言えます。
 そのような1番人気は、SAVも高く出ないように設定してあります。概ね65~90の間。そのような状況なら当然2・3番人気のほうに妙味が傾きます。
 結果図のとおり。毎年同じような形で回収率100%を超えてきています。どこか1年だけ200%で他は75%では全く使い物になりませんが、このような形で出力されていれば、たとえ当該件数が少なくても信頼できる条件として利用することができるのです。


◎ 奥野憲一
株式会社JRDBの情報サービスシステム部門の統括。
コンテンツ企画提案なども担当しつつ、競馬情報サイト「ストライド競馬新聞」を主宰。

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