競馬最強の法則WEB トップページに戻る 無料会員登録有料情報の申込みと解除
最強予想一覧 予想大会 レース&成績 POG ブログ(日記) 掲示板 名馬物語
社台の政治学とは
社台グループの思惑が馬券を左右する!
 かつて、私は指数やデータを頼りに馬券を買っていた。競馬データベースソフト・TARGETを使って、馬のスピード値を算出し、過去の傾向や対策を基にした私なりにデータ化した馬券術である。有名評論家たちの能書きや、いい加減なパドック解説などより、はるかに信用できるものだ。それによって、思わぬ穴馬券をゲットしたことは一度や二度のことではない。ワイド馬券が導入された99年、その馬券術をワイド馬券に特化した内容にして単行本で発表したこともあった。
 だがそれ以降、私は自分の馬券術を競馬雑誌などに発表することを控えた。その後の3連複、馬単、3連単の導入で高配当が当たり前になり、もっとさらに的中精度の高い馬券術にすべく研究するためだった。
 その結果、競馬には指数やデータだけでは計ることのできない深遠な部分があることがわかった。それは「人」という要素である。それを認識できたのは、現在の競馬が【社台】を中心に回っていることに気づいたからだ。
 いまの競馬は【社台】を抜きにしては成り立たない状況になっている。競走馬の供給量もさることながら、この不況下でもビクともせず馬に大金を注ぎ込める馬主のお眼鏡にかなうだけの“質”という面でも【社台】の果たす役割は図抜けている。それは最近の大レースの大半が、社台関係の馬に持っていかれている現状を見ても明らかである。
 ということは、【社台】のサジ加減ひとつで競馬の行方が決まるとはいえないだろうか? ひいては社台に付随する人間関係が、レースの流れを決めるといえるのではないか……?
社台が作るレースの流れ
 昨年の春先のことである。当時の私は指数だけで馬券を買うことに限界を感じていて「何か別の要素が必要なのでは?」と、その「何か」を模索していた。そんな中、おぼろげに感じていたことがある。とみに高まる【社台】の影響力が、レースの結果(私にとっては馬券の結果)に波及しているのではないか、ということだ。
 そのおぼろげな感覚が確信に変ったレースがある。昨春の天皇賞だ。

 天皇賞の人気馬は社台関係で占められていた。
 リンカーン(馬主=近藤英子氏/生産=ノーザンファーム)、ネオユニヴァース(社台レースホース/社台ファーム)、ザッツザプレンティ(社台レースホース/社台ファーム)、ゼンノロブロイ(大迫忍氏/白老ファーム)。ただネオユニヴァースは恵まれて2冠に勝った馬だし、距離適正からこの天皇賞は不向き。前走の産経大阪杯が勝負(1着)なのはミエミエである。ネオユニヴァースを除く3頭が、いわゆる勝負馬のはずだ。社台関係以外の有力馬といえばシルクフェイマスくらいのものだろう。
 しかし、レースの結果はまったく別モノだった。まったくのノーマークで、10番人気だったイングランディーレがあれよあれよと逃げ切ってしまったのである。2着にゼンノロブロイ、3着にシルクフェイマスという結果で、単勝7100円、馬連3万6680円、馬単7万5650円、3連複は21万1160円という高配当。1番人気のリンカーン13着、2番人気ネオユニヴァース10着、3番人気ザッツザプレンティ16着と、先の注目馬はまったくいいところナシである。
 まさしく驚きの結果だったが、先頭でゴールに飛び込んだイングランディーレの勝負服を見てさらに愕然としてしまった。
 どう見ても社台関係者の服色なのである。で、競馬新聞の馬主欄を見ると「吉田千津」と記載されていた。この吉田千津なる人物を調べてみると、紛れもない社台関係者、かの社台グループの総帥・吉田照哉氏の夫人だったのである。なんのことはない、結局勝ったのは【社台】だったのだ。
 私を含めた多くのファンが感じているように、天皇賞のレース内容にはかなりの疑問が残されている。例えば、リンカーンとザッツザプレンティだ。
 本来ザッツザプレンティは先行馬で、菊花賞は早めに動いて勝っている。リンカーンも切れる脚はないが、いい脚を長く使えるタイプで、ハイペースの有馬記念でも早仕掛け気味で2着に入っているほど。にもかかわらずこの天皇賞で、この2頭は行きたがっているようなのに、思いっきり抑えられていた。見ようによっては、馬が「いやいや」をして苦しんでいるようにも感じられたほどだ。これでは力を出しきれるはずがない。さらには「鞍上がアンカツと武豊ほどの名手なのに……」というモヤモヤも残る。もう一頭のゼンノロブロイにしても、あのペースからすれば明らかに位置取りのミス、仕掛けのタイミングのミスというべきだろう。
 一方、イングランディーレはというと、まるで「勝って下さい」といわんばかりの単騎スローの逃げ……大きな罵声が飛んでもおかしくないレースだった。しかし、イングランディーレの背景がわかれば、天皇賞への疑問は氷解するのである。
 ザッツザプレンティはすでに菊花賞を勝っている。だから、是が非でもここで勝たなくてはならない理由はない。となると、勝ちたいのは未だGI未勝利のリンカーン&ゼンノロブロイということになる。ただ、この2頭は実際に力のある馬なので、先々にもチャンスが巡ってくるはず。「何がなんでも今回の天皇賞を獲る!」という必要はなさそうなのだ(ちなみに、リンカーンこそは体調不順で凡走を続けているが、ゼンノロブロイは堰を切ったように秋のGI3連勝を成し遂げてしまった)。
 逆に、イングランディーレは実力でGIに勝てるような馬ではない。展開などの助けが必要不可欠なのだ。天皇賞(春)は超スローになりがちな長距離戦で、展開次第ではどんな馬でも追い込めないくらいのセーフティリードをキープすることも不可能ではない。まさにおあつらえ向きの舞台ではないか。ずっと公営との交流レースを走っていたのに、突然中央のGIに出てきたことも、まさに「ここ」を狙っていたと思われる状況証拠といえはしまいか?
 で、私は思った。「勝負がかり」であることを、イングランディーレ陣営以外の関係者も察知していたのではないか、と−−吉田千津なる人物が社台の総帥夫人だなどというのは、競馬関係者からすれば常識中の常識だろうし、ローテーョンその他もろもろの状況や日常の様子などからも勝負気配は読み取れるはず。その結果、イングランディーレに対してつい「遠慮」が出てしまい、ああいうレースが成立してしまった−−。
 ここでさらに考えなければならないのは、社台関係者以外の有力馬・シルクフェイマスの動きである。シルクの馬なら誰に遠慮する必要もないので、好き勝手に勝ちに行くはずである。しかし、よくよく考えればシルクフェイマスが凡走したのも当然。有力馬であれば、ザッツザプレンティやリンカーン、ゼンノロブロイ、ネオユニヴァースといった有力馬をマークしながらレースを進めるわけで、必然的に「遠慮」した一連の動きに巻き込まれてしまうことになるからだ。こうした事例こそ「社台の有力馬の動き次第で、レースの流れが作れてしまう」ということなのである。くどいようだが、これは「八百長」などとは全く違う。人間の思惑がレースに反映された結果なのだ。
社台の力を馬券に生かす法
 【社台】の力がレースに影響をおよぼすのであれば、それを馬券に活用しない手はない。とはいえ、単に社台の有力馬が集結するレースを漫然と眺めていても答えが見つかるはずもない。そこで、ネットや雑誌、新聞などを頼りに、社台グループの内訳と、かなり親密な関係にあると思われる馬主・厩舎を調べてみた。

牧場
社台ファーム ノーザンファーム 白老ファーム 追分ファーム

馬主
吉田照哉 吉田勝巳 吉田晴哉 吉田和子 吉田千津 吉田和美 社台RH サンデーR キャロットC ウインRC 金子真人 近藤利一 近藤英子 関口房朗 西川清 渡辺孝雄 臼田浩義 ラッキーF 細川益男 斉藤四方司 池谷誠一 P&P 大城敬三 市川義美 大迫忍 河長産業

厩舎
松田国 池江郎 橋口 松田博 森 長浜 瀬戸口 北橋 角居 音無 伊藤雄 浅見 沖 安田隆 松元省 松元茂 白井 藤沢和 小島太 伊藤正 国枝 二ノ宮 松山 河野 鈴木康 後藤 上原

 これは社台関係者とそれに連なる人脈を単純に羅列したに過ぎない(しかも、ごくおおざっぱに)。データというものは収集するだけでなく、整理・分類して活用しなければならないから、これだけではいかにも不十分。で、重要なのは、社台グループの中での派閥のようなものの存在を認識することだろう。
 それは「社台ファーム系」と「ノーザンファーム系」である。

 例えば、社台グループ内を整理してみよう。社台ファーム・白老ファーム=吉田照哉/吉田千津、ノーザンファーム=吉田勝巳/吉田和美(勝巳夫人)、追分ファーム=吉田晴哉と分けることができる。なお、吉田和子さんはかの吉田善哉氏の未亡人で、その所有馬は外国産馬が多く、人づてに聞いた話によれば、もっぱら勝巳氏が購入したものが多いらしいというから、ノーザンファーム系に入れておいていい。
 これをベースに馬主や調教師(彼らが手配するジョッキー)の関係を考えねばならない。
 例えば、キングカメハメハやディープインパクトなどでいまをときめく金子真人氏は、ノーザンファーム系だ。金子氏はほぼノーザンファームの馬を購入していて、主力厩舎は松田国、池江郎、橋口といった具合である。
 このように、社台をキーにしてどんな人間関係が成立しているかを把握することが大切なのだ。
エルフィンSを読み切った理由
 社台関係者の意図が、比較的簡単に読みとれるレースがあった。2月5日、3歳牝馬のオープン特別・エルフィンSである。このレースには8頭もの社台関係馬が出走していた。
全出走馬12頭。ナント4分の3が社台関係の馬で占められていたのである。となると、勝負をかける馬とそうでない馬に分かれるはずだ。
 というわけで、まずは各馬の背景を考えてみよう。
 出走馬の中で勝負気配ととれるのはジェダイト、デアリングハート、アスピリンスノー、エアメサイアの4頭だ。が、個別の背景を考えるだけではまだ不十分で、全体像を見渡す必要がある。
 現3歳馬のクラシック戦線を見てみると、候補に上げられている社台関係馬(エルフィンS前の時点でオープン入りして入る馬)のほとんどがノーザンファーム系に偏っている。アンブロワーズ、ラインクラフト、フェリシア、モンローブロンド、ジェダイト、ディアデラノビアなどがいる。ペニーホイッスルは白老ファーム生産で本来なら社台系だが、キャロットクラブの馬なのでノーザン系に入れていいだろう。一方、社台ファーム系はショウナンパントルくらいのものだ。となると、そろそろ社台系の馬が出てきていい頃である。4頭のうちジェダイトの扱いがやや低くなる。
 また、クラシック出走という点を踏まえれば、本番で勝負になりそうな馬を優先的に勝たせたいというのが自然。となると、勝ち味に遅く、成績にバラつきのあるデアリングハートは1段階下げて考えるべきだろう。で、エアメサイアとアスピリンスノーの比較だが、前者の父はSSで、後者はエルコンドルパサー。父の実績からして本番はエアメサイアのほうが有望と考えるのが普通である。
 また、エアメサイアを推させるさらなる背景もある。昨春時点で伊藤雄二厩舎の評判2歳馬といえば、何といってもサムライハートだったが、伊藤師本人はエアディアギレフという馬のほうが能力は上と見ていた。だがこの馬、社台ファームでの育成中、骨折で予後不良になってしまったのだ。で、その補填的意味合いで伊藤正厩舎に入るはずだったエアメサイアが、伊藤雄厩舎に行ったという経緯があるという(この話はネット上で紹介されている)。また、エアといえば藤沢和厩舎のエアサバスが評判だが、東スポ杯4着以降、なぜか使ってこない。つまり、今年のラッキーF(冠がエア)は相当ツイてないと見えるワケで、社台側としては何が何でもエアメサイアに走って欲しいはず、と読みとれる。
 というわけで、エルフィンSの本命は、必然的にエアメサイアとなる。で、私はこの馬からジェダイトを本線にデアリングハート、アスピリンスノーに流し、勝負度合いは低くても能力的に走ってしまう可能性があるレースパイロットを押さえればほぼ完璧だろうと読んでいた。
 結果はご覧の通り。流れは先行馬のエアメサイア有利のスローに終始し、エアメサイアとジェダイトで馬連1460円、馬単2750円、3連単9190円。2番人気と5番人気の組み合わせで、断然の本命馬が3着に沈んだことを考えれば、馬連&馬単はもう少し付いてもよさそうなものだった。(「競馬最強の法則」2005年5月号より)