毎年この時期の開催になると、芝のレースが大幅に減ります。特に下級条件の未勝利戦や古馬の500万下では全く無くなってしまいます。ですので、そのクラスで芝を中心に使われていた馬にとっては、初めてのダート戦になったり、久しぶりのダート戦になる場合が多く、能力比較を難しくしています。

　初ダートに関しては、ここ何回かで、降雪等でのコース変更で話題にした部分もそのまま使えます。ただ古馬の下級条件に限定すると、もう下から上がってくる馬がいないわけですから、基本的に勝ち抜け状態になっていますので、クラス全体のレベルは徐々に低下していきます。ですので、初ダートの馬でも楽に勝ってしまったり、あるいは休み明けでも楽勝してしまうこともあります。先週の中山８レースで、１年ぶりのレースを楽勝したウインデュエルも、もちろん能力があることも間違いありませんが、３着、４着までもが大きく離れてしまっていることが全体のレベルが低下していることを物語っています。

　休み明けの場合、このウインデュエルもそうですが、５歳だと降級しているケースもありますので力が上位なことが多いのですが、その分確実に人気になってしまうケースも多く、馬券的な妙味は少ないですね。ただ、休み明けに凡走した叩き２戦目は意外と人気を落とす場合もありますので注意して下さい。ですが、１番の狙い目は、やはり４歳馬ですね。特に３歳時に３歳限定の500万下のダートのレースで好走していて、久しぶりにダートを使う馬が一番注意です。こういう馬の中には人気になっていない馬も結構いますので馬券的にも美味しいケースがあります。もちろんこれに該当する馬が全て好走するわけではありませんので、地道に狙ってください。そうすれば、期待に応えてくれる馬が何頭か現れるはずですので。また、こちらのケースでは、1000万下でも狙える場合がありますので憶えておいて下さい。

　中にはどうしても芝のレースを使いたい馬もいるわけですが、そういう場合は、未勝利の身で３歳500万下の芝のレースに出走したり、古馬500万下の身で1000万下に出てくる場合もこの時期にはよくあります。特に古馬のレースでは、長距離戦は少頭数になることも多いので、除外の心配もありませんし、賞金も稼ぎやすいということもあるのか、格上挑戦してくる馬が結構いますね。さらにハンデ戦であれば斤量にも恵まれますので、好走する可能性もあります。こういう馬は、何も実力があるから格上を使うわけではなく、芝のレースが無いというのが一番の理由ということです。また、この時期の裏開催になる中京や小倉では、下級条件戦が多く組まれ、そこでは芝のレースもいくつか組まれますので、芝を使いたい場合は、そちらにまわる場合もありますね。勝って昇級すれば芝のレースが増えるクラスになりますので、もちろん実力が伴っていなければ意味がありませんが、裏開催の芝のレースでは、そのあたりの適性でのやる気も見抜く必要があります。ダート戦が苦手な馬というのがポイントでしょうか。

　あとは芝のレースが再開される春まで休養するという選択肢も一応あります。と、このように下級条件の芝路線組はこの時期に道が分かれるわけですが、これがまた４月末からの東京・京都開催で合流するわけでして、その時点でもまた前走が芝だったりダートだったり、あるいはローカルだったり、そして休み明けの馬も多数、格上に挑戦していた馬もいたりと、もうバラエティにあふれる前走ですので、能力の比較が難解で、荒れる開催とも言われています。

　先週の土曜日の中京開催は、雪のため、芝コースが全てダートコースへと変更になりました。このようなことは冬開催ではたまに発生しますが、その場合の指数の取り扱い方について少し説明いたします。

　まず、距離別値は芝とダートと分かれており、全てのコースに対応できますので、そのままご利用ください。ただし、本来は芝のレースを使おうとしていたわけですので、ダート戦の戦歴が少ない馬や初めてという馬もいますので、指数自体の信頼度は低下している場合があります。特に、３歳馬で、デビュー当時くらいしかダートを使っておらず、久しぶりにダートを走るような場合には、指数が低めになってしまっていると思いますので注意してください。

　また、直前値に関しては、芝とダートは事前のコースで分けて扱っていますので、この場合は、逆になってしまいます。つまり、直前値は全て芝コースでの数値で、ダートコースの成績は含まれていません。ですので、直前値は、参考程度に利用して下さい。

　最後にZIですが、この数値は芝・ダート関係なく前走のデータを数値化したものです。ですので、コースが変更になっても大きな影響は受けないのですが、このようなケースでは、前走が芝の馬がほとんどだと思いますので、そのような場合は、このようなケースに限らず指数の扱いには注意が必要になります。また、距離が大きく変る場合も同様です。
　ただし、TARGET等のプログラムを利用して各指数を見ている場合は、出馬表修正機能を使ってコースや距離を変更すれば、指数も全て自動的にそれに合わせて変化しますので、特に問題はありません。

　以前にも何度か書いていますように、通常開催での重・不良の馬場状態の場合でもそうなのですが、このようなケースでは、基本的に過去のデータが不足していますので、レースを予想する上での不確定要素が増えます。同時に新聞等の印が、違うコースを前提として打たれたものですので、実際の人気も過去の成績を正確に反映したものから離れている可能性が高くなります。つまり、賭け全体として、ランダムな要素が増えますので、このような場合は、ギャンブルとして見れば穴を狙ったほうが良いことになります。まあ極論ですが、わかりやすく言えば、競馬本来の推理を重視する賭けから、よりルーレットのような偶然が左右する賭けに近づいていることになりますので、オッズの高いところに賭けた方が得だという考え方です。ですが、全体的に情報不足ということなので、それでも期待値が高いかどうかは不明ですから、基本的には参加しないというのがベターな選択なのは間違いありません。

　先週４勝をあげた武豊騎手ですが、本年196勝と、年間200勝にいよいよリーチがかかり、今週末あたりに達成が期待されます。このコーナーでも、今年の夏の時点で、海外遠征や騎乗停止等である程度休んでも十分200勝に届くということを書きましたが、結果としてはそれ以降はほとんど休んでいないにもかかわらず、結構ギリギリという印象です。

　下の表は武豊騎手のデビュー以降の年別の成績です。去年は海外遠征ということもあって、騎乗数が少なく、日本での騎乗は質に拘ったためか、かなりの好成績でしたが、今年も例年と比較すれば悪いと言うことはありません。ただ、一番右の３番人気以内の馬に騎乗した率を見ると、過去の成績と比較して、今年はかなり高いにも関わらず、成績はいまいちという評価もできます。もちろん人気が過剰気味になることは当然ですが、それでもそれなりの成績を残してきていますので、この成績少々気になります。

◆武豊・年別成績
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年　　　勝率　連対率 複勝率　3人気内率
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1987年　12.5%　23.8%　34.1%　　33.6%
1988年　16.9%　30.6%　40.8%　　51.7%
1989年　18.3%　34.0%　45.0%　　65.2%
1990年　16.0%　32.4%　42.7%　　62.8%
1991年　15.0%　29.1%　43.8%　　62.3%
1992年　21.5%　34.5%　43.6%　　63.2%
1993年　19.6%　39.2%　51.2%　　72.5%
1994年　23.0%　38.8%　51.5%　　78.5%
1995年　19.3%　34.3%　45.2%　　70.3%
1996年　21.1%　34.0%　46.5%　　67.3%
1997年　23.3%　37.1%　49.3%　　68.4%
1998年　22.6%　36.6%　47.7%　　74.5%
1999年　22.0%　39.6%　51.4%　　76.8%
2000年　23.6%　36.2%　50.0%　　75.0%
2001年　18.3%　31.5%　46.8%　　71.5%
2002年　29.1%　43.5%　56.0%　　85.6%
2003年　23.7%　38.3%　48.8%　　80.3%
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　下の表は、今年の月別の成績で、左側が全成績、右側が３番人気以内の馬に騎乗したときの成績です。これを見ると、ここに来て成績が落ちているのがわかると思います。５・６月の成績も悪かったのですが、そのときと比較しても、連対率は悪くないのですが、勝率が悪くなっています。もちろんそれでも有力馬に騎乗していますから、全くダメということはありませんが、馬券を買う場合には注意が必要です。理由としては、やはりこの200勝へのプレッシャーもあるのかもしれませんが、武豊ほどの騎手ですから、プレッシャーというよりは、200勝に向けての騎乗馬の確保を優先して、騎乗馬の質が全体的に見て落ちているのかもしれません。騎乗数を見るとそのことがうかがえるのですが、11月は５週ありましたので、騎乗数が多いのは当然なのですが、１週あたりの騎乗数でもかなり多く、今月も２週で41鞍と多めになっています。200勝目前ということで、さらに騒がれれば、その分人気も過剰になる可能性もありますので、その辺りは注意して予想した方が良さそうです。

◆武豊・月別成績(全成績|３番人気以内時の成績)
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年月　　　騎乗数　勝率 連対率|　勝率 連対率
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2003年１月　65　29.2%　41.5%　|　32.1%　46.4%
2003年２月　69　20.3%　43.5%　|　23.3%　50.0%
2003年３月　84　25.0%　41.7%　|　30.9%　47.1%
2003年４月　68　26.5%　36.8%　|　30.4%　42.9%
2003年５月　76　18.4%　31.6%　|　23.0%　34.4%
2003年６月　67　19.4%　28.4%　|　28.9%　37.8%
2003年７月　73　26.0%　42.5%　|　30.2%　49.2%
2003年８月　36　30.6%　47.2%　|　44.0%　68.0%
2003年９月　72　26.4%　37.5%　|　30.4%　42.9%
2003年10月　74　29.7%　44.6%　|　35.5%　53.2%
2003年11月 101　17.8%　34.7%　|　21.3%　40.0%
2003年12月　41　19.5%　31.7%　|　22.6%　38.7%
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　阪神JFはペースがやや遅かったということもあってか、タイムは1.35.9と平凡で、このタイムから今後ピックアップできる馬は見つからないですね。直後の1000万下のゴールデンサドルトロフィーが1.34.4で、例年はこの１秒遅れ以内で決まることが多いのですが、今年は1.5秒も遅いので、来年の３歳牝馬路線は、今後ニューヒロインが出てくるのかもしれません。遅いペースで追い込んで勝ったヤマニンシュクルは評価できるかもしれませんが、それもやはり勝ちタイムが伴ってこそ信頼できるもので、このタイムでは信頼度は半分程度です。

　今週はそれよりもシェルゲームが目立ちました。勝ちタイムの2.00.7はこのコースの２歳レコードです。まあこの時期の２歳の中距離戦はレースも少なく、それほどハイペースになることはありませんので、そのためにレコードタイムが押さえられているとも考えられますが、それでも皐月賞や弥生賞のタイムと比較しても下の表のようにかなりのタイムで、今後の活躍が期待できそうです。このレースの上がりは37.0とバテた印象ですが、それも２角から競られてのハイペースで単純に引っかかったということではありませんし、初戦では折り合って速い上がりを使っていますので、気性に関しても多分問題ないと思います。また、ラップタイムも最後の２ハロンは12.1-12.2ですから、実際にはバテたという感じではありません。競られていたその直前に息が入ったという印象で、ペリエ騎手の名騎乗なのかもしれませんが、それに応える馬ももちろん評価できます。まだ２戦しかしていませんが、単なるスピード馬でもないですし、スローで切れるだけの馬でもなく、スピードとスタミナと賢さを兼ね備えた印象を受けるほどで、将来が楽しみです。ただ、タイムの絶対値としては、この時期の２歳としては優秀なだけで、古馬と比較するとそれほど高いものではありませんので、今後活躍するためにはそれなりに成長することも必要で、そのためにはじっくりと使われた方が良いかもしれません。まあ藤沢調教師であればその辺りは心配する必要は無さそうですが。

　下の表は、１着馬だけですので、実際には他の上位馬も好タイムを出してい場合もありますが、シェルゲームのタイムはもちろん２歳ではトップで、歴代の皐月賞馬と比較しても、見劣りすることの無いタイムです。


◆２歳〜３歳春・中山芝2000・１着タイムランキング(上位20)
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日付　　年齢　レース名　　 状　頭　タイム　１着入線馬名　　　　
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020414　３歳　皐月賞　G1　 良　18　1.58.5　ノーリーズン　　　　
940417　３歳　皐月賞　G1　 良　18　1.59.0　ナリタブライアン　　
930307　３歳　報知杯弥G2　良　11　2.00.1　ウイニングチケット　
930418　３歳　皐月賞　G1　 良　18　2.00.2　ナリタタイシン　　　
010415　３歳　皐月賞　G1　 良　18　2.00.3　アグネスタキオン　　
990418　３歳　皐月賞　G1　 良　18　2.00.7　テイエムオペラオー　
960414　３歳　皐月賞　G1　 良　18　2.00.7　イシノサンデー　　　
031206　２歳　葉牡丹賞500 良　14　2.00.7　シェルゲーム　　　　
930320　３歳　若葉Ｓ　　　　 良 　 8　2.00.9　ビワハヤヒデ　　　　
011201　２歳　葉牡丹賞500 良　13　2.01.1　サスガ　　　　　　　
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030420　３歳　皐月賞　G1　 良　18　2.01.2　ネオユニヴァース　　
980419　３歳　皐月賞　G1　 良　18　2.01.3　セイウンスカイ　　　
940306　３歳　報知杯弥G2　良　11　2.01.3　サクラエイコウオー　
030106　３歳　寒竹賞　500　良　16　2.01.4　マジックボーイ　　　
920419　３歳　皐月賞　G1　 良　18　2.01.4　ミホノブルボン　　　
990117　３歳　京成杯　G3　 良　15　2.01.5　オースミブライト　　
920308　３歳　報知杯弥G2　良 　 9　2.01.5　アサカリジェント　　
951202　２歳　葉牡丹賞500 良　11　2.01.6　タイキフォーチュン　
011223　２歳　ホープフ　　　 良　16　2.01.7　タイガーカフェ　　　
910303　３歳　報知杯弥G2　良　10　2.01.7　イブキマイカグラ　　
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